|
|
前の章の内容
原則使用目的を考えて!
原則ファスナー式と雨蓋式のそれぞれの長所・短所を知ること
を踏まえて、選び方を具体的に説明しちゃいます。
具体的な使用目的とは?
ザックもいろいろな用途に合わせて特化したモデルが出てきているのが、この十年くらいの趨勢です。カンタンに分類してみましょう。
・登山・ハイキング日帰り用〜連泊用
・極地用軽量ザック(アタックザック)
・スキー・スノボ運搬兼用タイプ
・自転車・バイクツーリング用
・競技・マラソン用
・沢登り用
などの特化したザックがよく見られます。また最近はノート型パソコンを運ぶザックまで出回ってきています。自転車・バイクツーリング用はハーネスの付け根から上が長いことが特徴です。これは運転中に人体が前のめりの前傾姿勢になることを想定した上で造られています。しかし、ハードな登山(将来的にザイルを使うような登山)でツーリング用ザックなど使うとなるとザックの上部が首や後頭部に当たり不自由になります。特化した造りということは応用範囲も比例して限定させてしまうという面もありますが、それぞれの用途にあった素晴らしい機能を発揮してくれる強い味方でもあるのです。
また山路を二時間以上歩くような場合は登山用のザックを選ぶべきで、タウンユースも考慮するような欲張り思考はやめた方が無難でしょう。
登山・ハイキング用の選び方
一般に平均的な体格・体力の日本の女性が5kg以上の荷物を背負うとを想定して説明してみましょう。(
女性は男性と比べてなにかと荷物が多いもの。油断してたら5kgなんてすぐに突破しちゃいます!)
@背中に接するザックの背面にあるハーネスの付け根をチェックします。左右のハーネスが離れて縫製されている場合はほとんどが肩幅の広い人向けに設計されています。ですから肩幅の狭い人やなで肩の人には不向きです。女性向けに設計されているザックのほとんどは左右のハーネスがあまり離れていません。それだけでなく、ハーネスが左右とも内側に向かって縫い付けられていたり、ハーネス自体が内側にカーブしたつくりになっており、加重がかかると内側に締まっていくような造りになっています。

A自分のバックレングスに合わせる
ザックを本格的にチョイスしようとすると、バックレングス(要は背中のサイズです)に合ったザックを探すことが重要です。自分の正確なバックレングスを知ろうとすると、人に測定してもらうしかありません。ザックのメジャーであるグレゴリー社の指定販売店などはバックレングスの測定器が用意されています。
けれども、自分で大まかに把握することも十分可能です。うなじの生際を頂点と考えて、もう一点はおしりをツンと突き出した時に出でくる腰骨のあたりと考えます。みなさんの大まかなバックレングスとはこの二点間の長さです。ここでは大まかでいいと思います。このおおまかな長さを元にザックの大きさを見当づけします。
A実際に背負ってみる
お店に展示されているものなら、遠慮せずに背負ってしまうべきです。余談となりますが、私が都内のアウトドアショップで実際スタッフとしてザックを販売していた時はどんどん背負わせてしまいました。私は同時に5kg以上の砂袋をザックに入れて試してもらいます。登山やハイキングといった場合、荷物の総重量が5kgを超えることはよくありますし、最低そのくらいの重量は想定しておくべきですから。納得いくまでいくつものザックを背負い、砂袋も借りて詰めてみることです。
キツい言い方かも知れませんが、それを面倒臭がるようなお店、重りさえ置いてないようなお店では購入はやめてしまうくらいの心構えで結構なのです。なぜなら、こうした配慮のない店舗ではデザイン重視、できれば高価格のものを優先して売ろうとする傾向がつよく、身体にフィットなんて親身にチェックしてくれません。またできない店員さんだったりも…。(稀に古くからお店をやっていて自分自身も山の熟練者っていう店員さんがいるところは直感でズバッとチョイスしてくれる場合もありますが)
私ごとで恐縮なのですが、初めて購入のお客様には一時間以上かけて説明したり、いろいろ背負って体感していただきました。親身になっていたというよりも、心配が先立つんです。「こんなのを買わせたら、きっと山で疲れてしまう…」みたいに。ですから、合っていないものにはハッキリとダメ出しもしていました。結果、一個のザックを売るのに一時間かける女って言われましたが、それでも売り上げ個数はいつもトップでしたよん!
これは私が自慢したいからではなくて、それだけ細かいアドバイスを初心者は求めている証拠だと気づいたからなのです。だからこちらも遠慮はしませんでした。実際に背負って重量を体感することは基本中の基本なんです。
そして、背負ってみたらチェックするポイントです。
専門的な言い方は避けますが、ハーネスのほぼ中央から伸びているストラップを勢いよく引いてみます。すると背負ったザックがズズッと上がります。ストラップは自分の手がこれ以上後ろに引けないかな・・・くらいまで締めて下さい。
次にウエストベルトのストラップを腹部を圧迫しない程度に締めて下さい。
この時点でウエストベルトが左右の腰骨の上で引っかかるような感触を得られたら、まずまずです。
最後に背負ってしまうと解りにくい所にあるトップストラップを前に向けて引いてみます。
このトップのストラップを締めたことで、ザックが自分の背中に張り付いたような感触を覚えておきます。
そしてもう一度最初に締めたストラップを肺が圧迫されない程度までもう一度締めてみます。
腰骨の感触と背中に張り付くようなフィット感、すべてのストラップを締めた後に感じる軽くなったような感覚の3つの感覚をザック毎に比較するのです。そして3つの感覚を一番感じ取れたザックが自分にフィットしたザックなのです。そしてフィット感のあるザックこそ実は自分のバックレングスに合っているザックでもあるのです。
テントも背負って山で宿泊を考えるなら、この感覚をより一層大事してザックを選ぶべきでしょう。
女性だからこそ、特有の問題が!
そして、本当はもう1つ大切なチェックポイントがあるのです。ザックが大きくなればなるほど、荷物が重くなるほど、胸の中央ではめ込むチェストベルトの役割が重要になってきます。最も荷物の比重がのしかかるハーネスは重さと歩行の振動で開いてゆこうとします。これを防止するために、チェストベルトがあるのです。このチェストベルトも適度に締めることで荷物の重量も分散させてくれる大切なベルトですが、ここに問題が隠れているのです。
これまで紹介したチェックポイントをすべてクリアしたザックで、背負いやすくても、チェストベルト次第で即却下になる可能性が潜んでいるのです。
チェストベルトは胸の中央でバックルをパチンとはめて締めるのですが、ちょうど、おっぱいのてっぺんに位置してしまうチェストベルトのザックは即ペケとしなければなりません。バストトップでチェストベルトを締めると、女性としては実に情けないスタイルになります。スタイルには無頓着な私でもさすがにこれだけは気にしてしまいますし、バストサイズの大小に関係なく次期に痛みを発する場合もあるほどです。私も「これだけフィットしていながら、チェストベルトの位置さえ・・・」と感じるお客様を何人も見てきました。
女性ってこういう所で損をするなんて・・・。
けれども、そんなことで悲観してられません。女性の立場で設計されているザックも増えていていますから!
私が関心したのは、MILETTやLA TERRAが女性向けシリーズを発売していたりするんです。このチェストベルトの位置をしっかりクリアしているのです。もちろん他のメーカーも女性の身体に配慮した造りにはなっていますが、この2つのメーカーの心配りには関心させられるところが非常に多いです。
本当はまだまだチェックするべきポイントはあるのですが、以上のポイントを押さえるだけで自分の理想に近いザックがチョイスできてくるはずです。
デザインも重要なファクター
売場のスタッフをしてお客様と接していると、自分のフィット感よりもデザインを優先する人が多いのには驚きました。
けれど、考えてみればデザインによって気に入る・気に入らないもザック選びでは軽視できない要素であると思うようになりました。お気に入りのザックは購入後も大事にされる。なによりも重要なファクターではないか!
私がいた売場は30リッター以下の小型ザックだけを20〜30種類ほど揃えた恵まれた環境でした。ですから、女性のお客様に背負い易さ重視で選んでさしあげても、ほとんどの人に3〜4種類ほどのザックがピックアップできました。その中から気に入ったデザインのものを購入するパターンが多かったように思います。雨蓋式かファスナー式か、色はどうか、ポケットの位置など・・・デザインを楽しむことも買い物の醍醐味ですよね。
 |
|